もっと女性が活躍できる業界に
建設関係に15年以上勤めてきた中で感じる建設業の問題点はたくさんありますが、結論だけ言えば女性が活躍できる業界にすべきだ。
女性には現場は無理だという意見もあると思われるが、もうそういう考え方が古い。男しかいないから全く進化しない業界なのではないかと感じられるくらいだ。
いくつかの観点から考えていきたい。
労働時間が長い
キツイ・キタナイ・キケンの3Kがそろった建設業だが、まずは「キツイ」の中の労働時間から考える。
建設業は日給の考え方が浸透しており、週休二日制の定着が難しい。週休二日制=収入減になるからだ。
そもそも建設業では各工事現場の「工期」が重要であり、工期内に終わらすためには残業・休日出勤もやむを得ないという考え方が一般的だ。週労働40時間制などをうたう労働基準法はそもそも、建設業になじまないのだ。
さすがに最近は、大手や業界団体を中心に週休二日制の導入や長時間労働抑制の試みがされているが、上記の問題は簡単には解決できない。
さらに不思議なことに、この業界はとにかく好きでやっている人間が多いのか、残業や長時間労働に抵抗が少ない人間が多い。
公共工事など、無駄に書類が多く、工期内に終わらないなどの事情もあろうが、とにかく長い時間仕事をしている。それが当たり前になっている。
これでは、女性ならずとも、誰もやりたがらない。ものづくりが好きな人間にしか務まらないのだ。
家庭の仕事もかかえがちな女性には難しい業界なのだ。
今後は家庭も仕事も充実できる、労働時間にしなければ、結局人手不足により、自らの首を絞めることになる。
技能の習得に時間がかかる
他の職種に比べて、一人前になるにはかなりの年数を要する。10年で一人前と呼ばれることが多い。
それは良いのだが、出産・子育てという仕事を担う女性にはこの、仕事から離れる期間が問題になる。企業としては、ずっと会社にいてもらって技能を習得して働き続けてもらいたいが、出産・子育てとなると、家庭の事情によってはそのまま仕事をリタイヤ。復帰することなく終わる可能性もある。
これが、女性の雇用が進まない、また女性も二の足を踏む理由ではないだろうか。
実際、かなり前のことだが、ある社長が女性は結婚・出産があると辞めてしまうから応募があっても採用しないと言っていたのを聞いたことがある。これはもう、今なら公にできない女性差別だが、口に出さないまでも、こういう考えの経営者は多いと思われる。
そうでなくても、女性に限らず、技能の習得を支援したり、一人前になるための年数を減らす必要がある。大概の人はそんなことは無理だというが、やらねば建設業の未来はない。人手不足が深刻でありながら、技能の習得に時間がかかるのでは、業界の衰退につながるしかない。
整理整頓、きれいな現場
これは特に住宅建設では非常に重視されてきている。現場がキレイな建設会社は技術レベルも高く安心できると考えられてきている。工務店を選ぶポイントとして、様々な情報サイトや住宅雑誌でも紹介されている。
これには女性の力が必要だろう。どうしても男性はがさつで整理がヘタだ。また掃除ができない男性が多い。男性と女性を比べれば明らかに女性の方がきれい好きだし、整理整頓ができる。
住宅業界においては、女性が活躍できている工務店が強くなるだろう。
住宅においては、施主も女性の意見が強い。施工するのも女性なら気持ちがわかるから当然有利になるはずだ。
力仕事は女性にはきつい?
どうしても体力や力が必要になる仕事ある。キツイ仕事と言われる理由の一つだ。しかし、このあたりのことは周囲の人間の協力である程度なんとかなる。
今後は技術の発展により危険な仕事や、負担の多い力仕事は少なくなる可能性は高い。AIやロボットなどは積極的に建設業界に導入されていくのではないだろうか。
そうすれば、女性の進出も容易になる。もともと女性労働者が少ないのだ。労働力不足の解消にも一役買うだろう。
まとめ
私は別にフェミニストではないが、建設業は根本的に変わらなければならないと感じている。そのためには今あまり活用されていない、女性の力を利用すべきだと思うのだ。
時代や技術は進歩しているが、建設業はあまり進んでいない。製造業は機械化により戦後から比べて爆発的に生産力が上がっていることは一目瞭然だが、建設業はどうだろう。
住宅の作り方を見ても、50年前とそう変わっていない。プレハブ工法などは進歩しているが、在来木造などはあまり変わっていない。
生産性や効率はまだまだ伸びしろがあるはずなのだ。
そういった問題が解決されてくれば女性の進出も容易になるし、女性の力も活かしやすいだろう。
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