苦労の対価としてのお酒をやめよ!
酒ばかり飲んでいるイメージの消防団。お酒好きな人にはメリットのある消防団かもしれませんが、周りからのイメージは悪い。今回はその辺りの問題を考えてみたいと思います。
お酒には中毒性と依存性がある
消防団とお酒の問題を語る前に、お酒自体の問題を考えることはとても重要です。
お酒には中毒性や依存性があります。消防団ではこのことがあまり指摘されません。最近は若者の急性アルコール中毒の報道が増えたせいか、そのことだけには気を付けている感じはありますが、お酒自体に問題があるという発想がありません。ここは改めるべきではないでしょうか。
アルコール依存症という病気があるように、過度な飲酒は体に害しかありません。言わば、麻薬に近いものなのです。脳内での快楽物質の働きはお酒も麻薬も基本的に同じです。違いは中毒性や依存性が麻薬より低いだけです。だからこそ、アルコールは適度に楽しむべきものです。
ところが、多くの消防団員はその適度が一般の人と非常にずれています。後でどれくらい一般とずれているかみますが、それが習慣となってしまっていることが問題なのです。
まずは、お酒には中毒性と依存性があり、(一般的レベルで)適度に楽しむべきものという認識が消防団には必要です。
苦労の対価としてのお酒
消防団員はボランティアです。わずかな活動手当は行政から支給されますが、計算してみれば最低賃金にも満たないものですので、金銭的には全く割に合わない活動だと言えます。
しかし、消防団員になると内容的にも時間的にもかなり大変な活動を強いられます。その苦労の対価として「お酒」があるというのが、現在の消防団の状態でしょう。
ただ、対価としての「お酒」によって、消防団員を確保していた面もあるのです。たいへんな防災活動の後でも、お酒があることによって、お酒の力でその苦労が報われて満足感や達成感を得られてるのでしょう。
こういった「苦労の対価としてのお酒」というシステムは、理解はできますが、弊害もあります。本来は防災活動をすることによる地域への貢献感と所属感をもって、消防団の意義とすべきところですが、お酒の中毒性・依存性が強すぎるあまり、お酒自体が目的にすり替わってしまっている弊害は否めません。
消防団と「お酒」の問題
一番の問題は、お酒を飲む頻度が高すぎる点と、一回の飲み会で度が過ぎるという点です。
変化する消防団員の意識
ただ、最近はお酒を飲まない消防団員の方もいますし、酒が飲めなくても大丈夫なように取り計らってくれる団員さんもいますから、世間の悪評を受けて少しずつ改善されてきています。
しかし、酒の適度は人によって違うので根本的な解決にはなっていないようです。いくらでも飲めるし飲みたい人にとって最適なシステム「苦労の対価としてのお酒」がある限り、飲めない人や飲みたくない人にとっては「お酒」は問題でしかありません。
問題の無い飲み会
すべての酒の席が問題というわけではありません。世間一般的にも行われている程度の飲み会であれば、全く問題ありません。
例えば、忘年会・新年会・歓送迎会・暑気払い。この程度であればどこの団体でも行うことですので問題とは言えません。
問題のある飲み会
全てが以下のように問題だらけとは言いませんが、以下のような問題がある頻度が高いです。
帰りは毎回午前様
二次会・三次会は当たり前。参加も当たり前という同調圧力がすさまじいです。一般的には二次会・三次会は任意参加でしょう。
また、消防団は詰め所又は施設を借りて、そこで飲食をする場合があります。普段の仕事をしたうえで集まって訓練・防災活動・会議などをするわけですから、食事の提供ぐらいはあって当然ですが、ここでお酒が入るとエスカレートする場合があります。ご飯食べて解散ならよいですが、実際は帰りは午前様なんてことがあります。
こんなことがたまにある程度ならよいですが、毎回では辟易します。
大会直後の慰労会
消防団にはポンプ操法大会というものがあります。早朝から準備して会場入りして競技を行うことになります。大会は夕方より前には終わりますが、夜は慰労会になって結局上記のように帰りは午前様です。大会は日曜ですから翌日は仕事の方が多いでしょう。
慰労会に参加すること自体に疲れてしまいます。
これもやはり、「苦労の対価としてのお酒」が目的になってしまっていると思われます。
さらにお酒には疲労をマスキングしてしまう効果がありますから、飲んで楽しんでいる本人たちからすれば、達成感と満足感しかないのです。だが、実際には疲労をマスキングして隠しているだけで、確実に体は疲労をためています。これは科学的に証明されていることです。
大会後の慰労会も、どうしてもその日に行いたいのなら、一次会までにするのが健康のためでしょう。
研修合宿でのお酒
私は消防学校での研修合宿に参加したことがあります。そこでは自分たちの地域だけではなく、県内各地から団員が集まっておりましたが、お酒はすさまじいものでした。
もちろんカリキュラムに宴会が含まれているわけはなく、参加する団員が自主的(?)にお酒を持ち込んで、食堂を借りたり、各寝室でお酒を楽しむわけです。
基本的に学校は、大の大人がすることですので黙認です。しかし、あまりにひどいケースがあったそうで、教官は口を酸っぱくして節度を求めてきたのが印象的でした。どうやら、誰か飲み過ぎて嘔吐物を寝具にぶちまけたようです。
私が参加した時はそこまでひどい問題は起きませんでしたが、かなりギリギリなことはありました。書くのは控えておきますが、これ以上問題が起きれば当然何かしらの対策をしなければならないでしょう。
そもそも、研修に酒を大量に持ち込むこと自体が異常です。修学旅行生でもここまでしないのではないか。
私は早々に寝ましたが、遅くまで飲んでいた人はいたようです。それは次の日にハッキリわかりました。みんなお酒は強いらしく欠席するような人はいませんでしたが、教室は朝からアルコールの臭いでいっぱいだったからです。
普通では考えられません。これもやはり、「苦労の対価としてのお酒」が目的になってしまっています。
消防団の幹部クラスの研修になるとさらにひどいという噂も聞いたことがあります。確かな情報ではありませんが、ある程度消防団の予算を使える幹部クラスだと、夜中にタクシーで飲み屋街に出かけてしまう人もいるとか…
問題は他にもたくさんある
私も消防団に長くいたわけではありませんので、まだ知らないようなことも多くあるかと思いますが、このあたりの問題は起きた都度全部さらけ出して、批判を覚悟の上で対策しないとどうにもならないでしょう。
苦労の対価はやはり「お金」で
お酒を飲むことが消防団の本分ではありません。「苦労の対価としてのお酒」は絶対にやめるべきです。
消防団活動が、お酒がないとやっていけないほどの激務であれば、その方が問題でしょう。
解決策の一つとしては、やはり苦労の対価はお金で支払うべきではないだろうか。そもそも、お酒に回す予算はあるのだから、使い方を変えるだけだ。
このあたりの問題を真剣に考えなければ消防団の存在意義はない。
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