私事だが、最近体が弱い。3週間近く風邪を引いていたし。30分歩いただけで筋肉痛になる。2時間立ち仕事をしただけで、翌日足腰が痛くて階段を降りるのもきつかった。ライブを見に行った翌日は腕が痛いし体がだるい。
どうしようもないね。
だがしかし、これを上回るのがこの本の主人公フランツ・カフカである。
散歩をしただけで、疲れて三日間何もできない
ちょっとした散歩をしただけで、ほとんど三日間というもの、疲れのために何もできませんでした(本文より)。
上には上がいますね。
私もここまではひどくありませんが、気持ちはわかります。
そして、本の帯にもある衝撃的な言葉
「いちばんうまくできるのは、倒れたままでいることです」
こんなことをいう彼より不幸な人間がいようか。ニートも引きこもりもホームレスだって彼の不幸にはかなわない。
フランツ・カフカ
代表作に「変身」などがある小説家。生涯独身、子供なし、41歳の誕生日1ヶ月前に、ほとんど無名のままこの世を去った。
彼の不幸は体の弱さだけにとどまらない。仕事にも恋愛にも絶望している。
最後は、結核で亡くなったようだ。
有名な小説家だが、それは死んだ後で評価されたようで本人には何の名誉も賞も贈られなかった。
彼の不幸がおわかりだろうか?
不幸な人に読んでほしい
なぜかこれを読むと元気が出ます。自分と比較していかに自分が恵まれているか気づくからかもしれないし、彼の小説家としての才能が読み手に勇気を与えるのかもしれません。
この本は手記などを簡単にまとめてあり、格言集のような体裁になっているので、非常に簡単に読めます。
不幸で不幸で本を読む気もないという人にも読みやすい。何しろもっと不幸な人間が書いたものなのだから。
これ位の不幸は医療機関には珍しくありません。
自分より不幸な人を見て安心しよう、という文を
読んで不幸な人の歪んだ思いを見たようで
憂鬱な気持ちになりました。