損をしたっていいではありませんか
これは私のセリフではなくて、大河の一滴で知られる直木賞作家の五木寛之さんの「生きるヒント」という本で読んだ言葉です。
読者からの人生相談から五木さんが答えるという形をとっている本でした。読んだのは20年くらい前、私が高校生ぐらいの時だったので、何の相談の答えだったか覚えてはいません。ただ、当時高校生ながら、この強烈なフレーズはとても心に残っています。
このフレーズの何がすごいのか
しかし、相談内容がわからないけど、人生相談に対して「損をしたっていいではありませんか」は普通考えられない答えです。この当時も、今現在においても損はしたくないというのが人の心情のはず。世の中にあふれる情報を見ても、損得に関する情報ばかりです。投資の話などまさにそうですね。しかし、損をしたっていいと言い切ってしまっているのです。誰かに相談されて「損をしたっていいではありませんか」と答えることができるでしょうか? どうしたらいいかと尋ねられたら、誰だって何が得か考えますよね。だからこそ、この言葉はすごいのです。
このフレーズの考えの拠り所
仏教の思想がこの言葉からみてとれます。実際、五木寛之さんは浄土真宗の宗祖である親鸞や同じく浄土真宗の蓮如に関する本も書いていますので、影響は間違いなくあります。仏教は生きるための智慧を教えてくれる宗教ですが、損得を教えるものではありません。先に出てきた親鸞は悪人ですら極楽浄土に行けると説きます。悪人になることは普通に考えて損です。しかし親鸞の教えに従えばそんなことは関係なく極楽浄土にいけるのです。極端な例ですが仏教の考え方が損得にもとづかないことが分かります。
どうあるべきか
「損をしたっていいではありませんか」とは損得など気にするなということですね。損をしたからって落ち込む必要もなければ、得をしようとアクセク働く必要もないということです。すべては思うがままにならないことなのだから、何も気にせず今を生きればいいということでしょう。
このフレーズから勇気をもらおう
損をしたっていいではありませんか。ある種のあきらめの境地ですが、こう言われたら少し心が軽くなりませんか。人生長く生きていれば損をすることだってあります。
人からはネガティブだとか、負け犬の発想だとか言われそうですが、気にする必要はありません。損をしたまま前に進めばいいのです。そんな勇気をもらえるフレーズです。
損をしたくない、儲けたい、失敗したくない、…そんな思いでチョット窮屈になったら思い出したいフレーズです。
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